同期と「つつみ生八つ橋」(H6卒 井上圭二)

岡山(経由)京都 
~同期3人旅・思い出の「つつみ生八つ橋」~

井上 圭二(H6卒/新田)
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(30年前。山下のお父ちゃんとお母ちゃんに一番迷惑をかけていた頃の写真)

令和4年10月30日、大阪で第70回全日本学生剣道優勝大会が開催された日、同期・山下忠典の父・文男さんが、京都で息を引き取られた。

その12年前の12月には、忠典の母・由紀子さんが先に旅立たれた。私は勝手に「お父ちゃん」「お母ちゃん」と呼ばせてもらい、かなり迷惑をかけた。
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お母ちゃんが亡くなる数日前、忠典から「あかんかもしれん」と突然連絡があり、その日の夜行バスで松山から京都に向かった。山科駅に到着し、病院に直行。病室に入り、驚いた顔で私を見るや否や「けぃちゃん、あんた何しに来たんや~、おおげさやで。」と精一杯の笑顔で迎えてくれた。お見舞いにいい思い出がない私は、涙をこらえるのに必死だった。

今回、3年ぶりとなる中四国OB戦(令和4年12月4日 第22回中四学連剣友剣道大会)の岡山開催に合わせて、学生時代から常に行動を共にしてきた忠典と馬渡勝宏、私の3人で京都行きの計画を立てた。コロナ禍以降は再会できなかった「お父ちゃん」に会う旅だ。
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(学生時代の3人)

お父ちゃんは、豪快かつ繊細、鋭い洞察力。茶目っ気たっぷりで、エロい。お母ちゃんに隠れて、酒を飲んで、すぐに見つかって、怒られて...でもまた飲む。そんなお父ちゃんだった。

現在、忠典は岡山にいて(三井住友海上勤務)私と同じチームで出場したが、勝宏は福岡から応援も兼ねて来てくれた。
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(写真はその日の勝宏)

試合結果は、すでに剣友会ホームページで報告済なので割愛するが、中四国も若手が多くなり、特に 成年の部では縁遠かった「優勝」を初めて手にした。


岡山で皆と別れたその夜、京都・山科の山下宅に到着。以前は自宅兼スナック「ふみ坊」だったが、数年前にリフォームし、今は山下家の次男・あっちゃん(前カミナガ販売勤務)と奥様・美奈子さんが住んでいる(二人のお子さんは東洋大学在籍中)。
この家には数えられないほど来ている。忠典がいなくても我が家のように来ていたが、我が子のように受け入れてくれるその何ともいえない山下家の雰囲気が大好きだった。そのおもてなしは、今を受け継ぐあっちゃん夫妻も同様で、お父ちゃん、お母ちゃんを偲びながら、ネットの繋がったテレビで、90年代に流行った懐かしのナンバーをバックに語り合った。
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(あれから30年)

翌日、山下家の墓参りを済ませ、山下宅に戻り、3人とも爆睡。夕方近くに大阪に移動。別れの時間が近づいた。
忠典が岡山勤務になって3年。岡山・福岡・松山のトライアングルで頻繁に往来できるはずであったがコロナ禍で実現できず、久々に3人の時間が過ごせた。何を話すわけではないが、心地よい時間であった。

墓参りの帰り、山科の京栄堂本店 にて「つつみ生八つ橋」を購入。これは、お母ちゃんが、学生時代からいつも土産に持たせてくれた私の大好物。最後の見舞いに行った際も、忠典に「たぁちゃん、けぃちゃんに つつみ八つ橋 買うといてあげや。」と気遣ってくれた思い出の品だ。
コロナ禍を理由に、グズグズしている私達にしびれを切らしたお父ちゃん、お母ちゃんが京都に招いてくれた今回の3人旅。あっちゃん夫婦にはご馳走になり大変迷惑をかけたが、また訪れるに違いない。ふと気付けば50歳を過ぎたが、山下宅には30年前の優しい空気が今も漂っていた。


編注:
久しぶりに、圭二に近況報告の一筆を依頼したら、この原稿が送付されてきました。故山下文男様と故山下由紀子様には、大先輩を含め、幅広い年代の先輩方がお世話になりましたので、ご報告を兼ねて掲載しました。心からご冥福をお祈りいたします。

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