2020年8月の記事一覧

思い出(今は夢のような)

最近、剣道を、日曜日の夜に見ています。
テレビドラマの、半沢直樹。面マスクしていないんだーとかぼんやり考えながら。
先輩の皆さまにおかれましては、お気に入りの面マスクを見つけられましたでしょうか。


さて前の記事で先人のことを書きましたが、2008年発行の「斌徳(ふとく)」制作時に、故角栄次郎先輩(19卒)からご提供いただいたこの写真がとても印象的でした。
1940-1.jpg

昭和19年9月22日、学徒出陣前に中大正門前で撮影した写真ですが、60年以上の時間を経てとても鮮明で(大切に保管されていたのでしょう)、つい先日のことのようでした。故角先輩とは一度、お電話でお話しする機会がありました。とても若々しい声で、いつかお会いできると思っていました。

「斌徳」五号(P68~69)に、上の写真と一緒に掲載されている故角先輩の原稿を再掲載させていただきます。3年生(2年生?)の9月に卒業し(させられ)、翌年入隊。終戦後に復学されたかどうかは、このときの原稿からは分かりません。

思い出(今は夢のような)

昭和19年も秋戦争も熾烈になって敗色も濃厚になってきました。学生の「徴兵猶予制度」(満二十歳になっても学生の間は徴兵の義務が免除される)が無くなり二十才以上の学生も全部兵役につくことになりました。私も陸軍船舶兵として翌二十年一月に入隊が決定しました。(学徒出陣)
そんな中でも中大剣道部は地下の食堂で昼食にすいとん(お汁の中にうどん粉の小さなかたまりが二つ三つ入っている)を食べながらも意気軒高でした。
三月の卒業式が全学繰り上げて九月になりました。この写真は稽古の後そこにいた部員が集まって撮ったお別れの写真でもあったようです。正式の卒業式もなく日本中が大混乱期、そして部員も一人去り、二人去り戦争の渦中に吸い込まれていきました。

「海ゆかば水づく屍 山ゆかば草むす屍 大君の辺にこそ死なめ かえりみはせじ」(編注1)

「み民われ 生けるしるしあり あめつちの 栄ゆる時に あえらく思へば」(編注2)

そんな歌を信じて、当時の若者は護国の神にならんと戦場におもむきました。

昭和十九年九月二十二日学徒出陣間近、中央大学正門前で撮った思い出の写真を送ります。
1940-2.jpg
前列向かって右から二人目が小生、その隣中央が鈴木信義、その隣左から二人目が堀江、その左後ろ、二人目向って左が金子の三氏です。今私も八十歳になりましたがその頃のことが昨日のことのように想い出されますが今日の日本の繁栄を考えると夢のことのようでもありますし又日本が今正しい道を進んでいるのかも心配でなりません。日本の、いや若い人々の奮起を日々願っている心境のこの頃です。

ここまで。この文章は、もう何回も読みました。

2008年に発行した「斌徳」の編集作業を思い出します。12年前の夏。手書き原稿は、当時の編集部員の誰かがパソコンに手入力して原稿を起こしたものです。
しかし今回は、スマホで音声入力。随分と楽にこの記事を書くことができました。
「学徒出陣」が「GACKT出陣」と変換され、ある意味、そういう時代で良かったと感じ入った次第ですが、それにしても音声入力。あの夏の編集作業を思い出すと、これまた今は夢のような。

補足:12年前に気が付かなかった短歌について。
(編注1)海行かば・・・とは、元は、万葉集にある、大伴家持の長歌。
(編注2)み民われ・・・とは、万葉集にある、海犬養岡麻呂の短歌。


先人を偲んで

月遅れのお盆を過ごされた地域の方にとって、8月16日が盆明けとなります。
2020seireiuma.png

普通ではない生活を強いられるようになって約半年。
そして、これからはそれが「普通」になるそうで

202008TVasahi.jpg

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202008TVasahi2.jpg

(以上は、8月4日夜のニュース番組で紹介された高校の部活動の様子)

こんな時、先人はどのように対処されたかなぁと、ずっと考えています。

8月15日の夜、戦争に翻弄された若者たちのドラマを観ました。登場人物のひとりが、特攻隊員として出撃する前に書いた遺書を聞きながら

故須郷先生(昭和61年5月19日ご逝去/享年60歳)が学徒出陣により特攻隊に配属され、昭和20年8月15日の13時に出撃命令を受けながら、その日の正午の終戦により出撃中止となったこと

故川原大三郎先輩(平成19年11月2日ご逝去)が昭和17年に満州国皇帝(※注釈)の前で日本からの代表団と試合をして勝利されたこと、その後、シベリア抑留を経て昭和22年に帰国、神田駿河台のビルを見て涙を流されたこと

昭和18年度の主将、松重先輩が学徒出陣で海軍航空隊に入隊、終戦時は鹿児島県鹿屋の特攻基地で沖縄出陣寸前であったらしいこと、その後の消息は不明であること

・・・などを思い出していました。いずれも「斌徳」(ふとく)を読んで心に残っています。

お盆の最後の日は、先人を偲んで過去の「斌徳」を読み返していました。
彼岸にて、どうか、中大剣道部を見守っていてください。

(※注釈)
「斌徳第5号(2008年発行)」P63に記載があります。年代的にその皇帝とは愛新覚羅溥儀(いわゆるラストエンペラー)だと思われますが溥儀の名前はありません。

残暑お見舞い申し上げます

東京の7月は雨が続いて比較的涼しいと思う日も多くありましたが、8月になった途端に熱中症が心配されるほどの危険な暑さの日が多くなりました。熱中症に気をつけて、お身体ご自愛ください。

202008bhchomask.jpg

写真は面マスクの潮部長です。いくつか試されているはずですが、夏に使用するに適した面マスクはあったでしょうか。

2020年8月15日は、インターハイの剣道競技の開会式と、秋田合宿の納会が予定されていました。毎年、全国の戦没者の慰霊と平和を祈念して甲子園の球児と一緒に黙祷をされる方も多いと思いますが、その甲子園も、今年は特別な形での開催となりました。
来年は、いつもの夏が戻ってきてほしいので、引き続き感染予防に努めようと思います。

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上記データの出所は東京都のホームページです。

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